今回も前回に引き続き、間近に迫った社会保険の見直しについて取り上げたいと思います。
皆さまはどこまで準備が進んでおられますか。「毎年大変だ」「少しでも簡単にならないの」といった思いをお持ちであれば、ぜひ前回も含め、本コラムをご一読ください。
サブテーマは、前回の「通勤定期代 の社会保険料算定」に引き続き、「通勤費実費精算の社会保険算定」です。
前回のコラムでは、まず従業員(被保険者)の社会保険料の見直し(定時決定*1)について取り上げました。4月~6月の給与(報酬)実績からその平均額を算出し、標準報酬月額表*2にある等級区分に当てはめて算定する「標準報酬月額」のこと。そして算出の際に注意すべきことをご紹介しています。
もっとも注意すべき点としては、報酬(月額)には「基本給」はもちろんのこと「役付手当」「残業手当」「通勤手当」などの手当も含まれることでした。これらを合算して、標準報酬月額を算定しなければなりません。
*1 参考「日本年金機構 定時決定(算定基礎届」
*2 参考「全国健康保険協会(協会けんぽ)令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)」
そして、実際の労働への対価である報酬は、残業や手当に応じて月ごとに変動するものです。
さらに、異動・転勤・転居の時期である年度初めには、それに伴う定期券の変更や解約が多数発生。通勤費の変動が多く、これを標準報酬月額に反映させなければなりません。
残業や手当については、給与計算ソフトや就業・勤怠管理ソフトで簡単に管理・計算している会社が多いものの、通勤費については人がExcelや手作業によって管理・計算していることが多く、多くの会社・管理部門で手を焼いているようです。
このため前回は、定期券の変更や解約に絡む、月ごとの通勤費の計算方法をご紹介しました。
しかし昨今、新型コロナウイルスの感染対策としてテレワーク導入が拡大。従業員の通勤日数が減ったことを受け、通勤費の支給を定期から「実費精算」に切り替える企業が増加しています。
そこで今回はさらに、通勤費の実費精算における方法を確認したいと思います。
まず、通勤費の支給対象者がすべて実費精算であれば、4~6月の実際の支給額を合計して3で割る(平均する)作業がありますが、これは少し手が掛かるものの、比較的簡単でしょう。
気を付けたいのは、精算の対象月と支払月にズレがある場合です。
ズレに惑わされることなく4~6月分の通勤費を正しく社会保険料の標準報酬月額の算出に用いるよう、注意が求められます。単純ですが、よく起きるミスです。
その際、さらに面倒なのは、通勤費の支給方法で「定期代」と「実費精算」が混在する場合です。中でも、「定期代:先払い、実費精算:後払い」のケースと、「月の途中で定期を解約し、実費精算にする」ケースでは、かなり手間がかかります。一つずつ見ていきましょう。
定期券の有効期限切れに合わせ、通勤費を実費精算に切り替えた場合によく起きるケースです。
定期代を有効期限(月数)で割って毎月の給与とともに分割支給(先払い)する場合、通勤費の支給対象月と実際の支払月は一致します。
このため、4~6月の給与の支給実績をもとに社会保険料の標準報酬月額を算出しても特に問題はありません。
しかし、通勤費を実費精算にする場合は、支払いが翌月(後払い)となります。
したがって、実費精算の開始月の給与には通勤費が含まれません。つまり「通勤費、支払い(計上)ナシ」の月が1度発生することになります。よって標準報酬月額の算出の際は、この「ズレ」に注意が必要です。
通用期間6ヶ月(11/1~4/30)の定期券を使い切り、5月から通勤費を実費精算に切り替え。
6・7月に支払われる分を通勤費を使用した月であるそれぞれの前月(5・6月)に計上し、標準報酬額の計算にも利用しなければならない。
従業員の転居などに伴い、月の途中で定期券を解約し、そのタイミングで実費精算に切り替える場合があります。
その際、この月の通勤費をどう扱うかが問題になります。切り替え後の実費はそのまま計上すればよいのですが、切り替える前の定期代をどう考えるかです。
例えば、以下のようなケース
【計算式】
〈4月の通勤費〉90,000円÷6ヶ月=15,000円
〈5月の通勤費〉90,000円÷6ヶ月+250円×2(往復)×7日=18,500円
〈6月の通勤費〉250円×2(往復)×8日=4,000円
〈期間の総額〉15,000円(4月)+18,500円(5月)+4,000円(6月)=37,500円
〈月の平均額〉37,500円÷3ヶ月=12,500円
定期代と通勤費の実費支給が混在すると、Excelを駆使したり、電卓を使って手作業で計算したり、と業務が大幅に増加というケースが少なくありません。
そして、計算結果を給与計算ソフトや就業・勤怠管理システムに手入力することになり、その手間や負担はかなりのものと考えられます。
いままでこのような計算に、どれくらいの時間や人手を割いてこられたでしょうか。
「年に1度だから、一時的に残業を増やして乗り切ろう」といった方針であれば、ぜひ、もう一度そのやり方を検討してみてはいかがでしょうか。
一時的な残業、つまり不安定で変則的な就業時間や勤務形態の発生は、従業員の生活に多大な影響を及ぼすものです。
特に、子育て世代の小さな子どもを抱える従業員にとって、家族全体にストレスがかかる大きな問題でしょう。
そして経営的な観点から言っても、毎年発生してきた残業コストを抑えることは有益です。
そこで、通勤費管理システムの導入がおすすめです。
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