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定期券の払い戻しで注意すべきポイント

日本のビジネスパーソンのほとんどが所持していると言っても過言ではない「定期券(定期乗車券)」。利用する期間を決めて購入することにより、毎日普通に乗車した場合よりも低価格で購入できるようになります。ほとんどの場合は、通勤手当として会社から支給されて定期券を購入しているかと思います。

 

この定期券を、転居や転勤や退職、または通勤手当の実費精算へ切替えなどの理由によって「払い戻したい」というケースもあるでしょう。

しかし、定期券は「この期間にほとんど毎日電車を利用します」ということを条件に割引金額で購入しているため、「やっぱり利用しないから」という全額払い戻してもらうということにはなりません。

 

では、一切払い戻されないか?というとそうではなく、手数料と使用分が差し引かれた決められた金額だけを払い戻してもらうことはできます。

 

通勤費計算担当者の方だけでなく、定期代を支給されている従業員の方も定期券の払い戻し計算の考え方を理解しておくと便利かと思います。

本稿では、定期券の払い戻しとその注意点について解説します。

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定期券の払い戻し金額について

まずは、JR東日本のFAQページより定期券の払い戻し金額や条件について確認していきましょう。以下は、FAQページより抜粋したものです。

“不要となった定期券は、有効期間が1ヵ月以上残っている場合に限って払い戻しいたします。この場合の払い戻し額は、発売額からすでにお使いになった月数分(1ヵ月に満たない日の端数は1ヵ月とします)の定期運賃と手数料220円を差し引いた残額です。ただし、払い戻し額がない場合もあります。

 

払戻額=定期券発売額-使用済月数分の定期運賃-手数料220円例)

4月1日から9月30日まで有効の6カ月定期券を8月20日に払い戻す場合払戻額=6カ月定期運賃-(3カ月定期運賃+1カ月定期運賃×2)-手数料220円”

引用:JR東日本 きっぷのあれこれ きっぷの払い戻し

 

この条件をもとに、6ヶ月定期券を購入(4月1日購入)し、払い戻す場合のシミュレーションを行ってみましょう。

※1ヵ月に満たない日の端数は1ヵ月とします

 

定期券の払い戻し金額および条件は、以上のように変化します。4月1日に購入した6ヶ月定期券は、9月30日までの利用を想定しています。そのため、9月20時点では利用期限まで残り10日となっており、1ヵ月に満たない日の端数は1ヵ月とするため、払い戻しは不可ということになります。

 

これはつまり、9月1日時点で払い戻し申請を行っても、9月1日になった時点で満期と判断されるので、払い戻しはできなくなります。定期券の払い戻しを利用する際は、この点に十分注意してください。

 

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1ヵ月定期券の払い戻しはできないのか?

ここで1つの疑問が生じます。それが、1ヵ月に満たない日の端数は1ヵ月とするのならば、1ヵ月定期券を購入するとその時点で払い戻しは不可能になるのか?ということです。

前述した条件に倣えば、1ヵ月定期券を購入した時点で満期という認識になるため、払い戻しはできないはずですね。ところが、以下いずれかの条件を満たしていることで、1ヵ月定期券でも払い戻しが可能になります。

購入間違いによる直後の申請

これは使用する鉄道会社によって大きく異なりますが、利用する区間を間違えた等の理由による購入間違いの場合は、その場で申請することにより定期券運賃の全額が払い戻しになる可能性があります。重要なのは「その場で申請した」ということです。

 

購入間違いというのは基本的に利用者の過失であり、鉄道会社側には対応責任が生じません。また、鉄道会社側からすれば間違いなのか自己都合によるキャンセルなのかは判断できないため、基本的には各鉄道会社が定めるルールによって払い戻しに対応してくれるか否かが分かれます。たとえ対応してくれなかったとしても、鉄道会社を責めることはできません。

 

こうしたルールは都度変化するものでもあるので、購入間違いをしてしまったら必ず窓口に“その場で”申請し、鉄道会社が定めるルールに従いましょう。

 

使用開始日から7日以内に申請した

JR東日本では、使用開始から7日間以内に払い戻し申請を行った場合に関しては、特別なルールが設けられています。これは購入間違いをしてしまった利用者に向けてルールであり、以下のように定められています。

 

“上記(先に引用したルール)にかかわらず、買い間違いなどのやむを得ない理由により定期券が不要となった場合は、有効期間の開始後7日以内に限り、発売額からすでに経過した日数分の往復普通運賃と手数料220円を差し引いた残額を払いもどすことがあります。”

引用:JR東日本 きっぷのあれこれ きっぷの払い戻し

 

たとえば4月1日に1ヵ月定期券を購入し、間違いに気づいて4月6日に払い出しの申請を行った場合は、4月6日時点で6日間が経過したことになります。よって、普通に乗車した場合の運賃(往復分)の6日分と、手数料220円を差し引いた金額が払い戻しされます。

 

武蔵浦和~新宿間の1ヶ月定期券(通用期間4月1日~4月30日)11,850円を購入した場合。
片道運賃は切符料金で400円、IC料金で396円です。
これを、上記の例で払い戻しをすると、
<11,850円-400円×2(往復)×6日分-手数料220円>
で、6,830円が払い戻されることになります。

 

注意点は「発売額からすでに経過した日数分の往復普通運賃と手数料220円を差し引いた残額を払い戻すことがあります。」と、断定していないことです。
場合によっては払い戻しが不可能な場合もあるので、定期券の販売窓口に相談するまで分からないことを念頭に置いておきましょう。

 

区間変更

転居先や勤務先が同一路線上の別の駅に変更になった場合は、区間変更となります。

定期券の区間変更を行う場合も、一定額の払い戻しが可能です。ただし、全額ではないのでご注意ください。JR東日本では区間変更について以下のように説明しています。

“定期券の区間変更はできません。新しい区間の定期券をお求めいただき、古い区間の定期券は払い戻しをいたします。この場合の払い戻し額は、発売額からすでにお使いになった旬数(10日を1旬とし、1旬に満たない日の端数は1旬とします)に定期運賃の日割額を10倍した額を乗じた額と手数料220円を差し引いた残額です。”

引用:JR東日本 きっぷのあれこれ きっぷの払い戻し
  定期乗車券使用開始後の旅客運賃の払いもどし

 

要するに、「区間変更後の定期券を新しく購入することを条件に、古い定期券に支払った金額のうち一定額を払い戻します」というルールです。ポイントは“旬数(じゅんすう)”です。これは10日単位を意味し、旬数に応じた払い戻しがされます。

 

4月1日に1ヵ月定期券を1万円で購入し、4月20日に区間変更を行った場合、<1万円-定期運賃の日割額を10倍した額を乗じた額×2-手数料220円>の式で計算した金額が払い戻されます。

 

具体的には、

武蔵浦和~新宿間の1ヶ月定期券(通用期間4月1日~4月30日)11,850円を購入、片道運賃は切符料金で400円、IC料金で396円を、4月20日に区間変更を行った場合、
これを、上記の例で払い戻しをすると、
1旬の料金(定期運賃の日割額を10倍した額を乗じた額)は、

11,850円÷30日×10=3,950円なので、
<11,850円-3,950円×2旬分-手数料220円>
で、3,730円が払い戻されることになります。

 

まとめ

以上のように、定期券の払い戻しにはさまざまな条件や計算方法があります。

また、通勤手当として定期券払い戻しの際のルールとしては、転居や退職など自己都合による払い戻しの場合は手数料を自己負担、転勤などに伴う転居や勤務地変更など会社都合による払い戻しの場合の手数料を会社負担とされている企業が多くあります。

定期券の払い戻しは窓口に行かないとわからない、ということではありません。本稿でご紹介した注意点を押さえていただくと、従業員の方本人も通勤費計算担当者の方も。払い戻し金額がいくらになるのかを把握しやすいかと思います。

 

転居や転勤、入退職に伴う通勤費支給計算、払い戻し計算が大変だと感じている企業様、通勤費管理担当者様は、通勤費の管理のシステム化を検討してみてはいかがでしょうか。

定期券の払い戻し日を指定するだけで自動計算できるので、通勤手当の管理がとても楽になります。

 

 

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公開日:2019/07/02

更新日:2022/06/03

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