【人事】 雇用保険 の対象や計算方法について
雇用保険について、世間一般では「いざという時に失業手当をもらうためのもの」という部分ばかりがクローズアップされがち。
しかし、雇用保険はそれだけの保険ではなく、失業手当の他にも労働者を幅広く金銭的にサポートする内容を含んでいる保険制度です。
ここでは、雇用保険の内容やその対象となる人についての説明や、さらに雇用保険額の計算方法などの幅広い情報をお届けします。
ぜひこの機会に、雇用保険に対する理解を深めて下さい。
雇用保険は失業手当のためだけではなく幅広く労働者をサポートする保険
「雇用保険は失業した時に失業手当をもらうための保険」と認識している人が多いですが、雇用保険の内容はそれだけではありません。
いわゆる失業手当・失業給付金と言われるのは雇用保険の「基本手当」にあたるものですが、その基本手当以外にも、雇用保険には以下のような内容が含まれています。
*育児休業給付:育児休業中に受け取ることができる保険
*介護休業給付:家族に要介護者がいるなどの理由で介護休業を取得した際に受け取れる保険
*教育訓練給付:厚生労働大臣が指定する講座を受講し修了した人に対し、その費用の一部を支給する保険
*高年齢雇用継続基本給付: 60歳から65歳までの賃金の低下を補うための保険
このように雇用保険制度は、失業時のみならず、他の部分でも労働者の幅広いサポートをしてくれる内容となっています。
雇用保険の対象となる人は一定の条件を満たした労働者
雇用保険の対象となるのは労働者ですが、原則として以下の2つの条件を満たす必要があります。
*1週間の所定労働時間が20時間以上
*31日以上の雇用見込みがある
つまり1週間の労働時間が20時間を超えていても、1ヵ月未満の期間で終わるような短期アルバイトなどは雇用保険の対象となりません。しかし、これでもかなり基準は緩和されたほうで、平成22年3月までは6ヵ月以上の雇用見込みが必要条件となっていました。
ただし現在の基準である31日以上の雇用見込みがあったとしても、「週に数回のパート」などで週の労働時間が20時間に満たない場合は雇用保険の対象とはなりません。
逆に、この2つの条件を満たしている労働者であれば正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、すべて雇用保険の対象者となります。
雇用保険対象者となる労働者を雇っている事業主は、雇い入れた月の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を公共職業安定所に提出することが義務づけられています。
日雇い労働者の雇用保険もある
先ほど、雇用保険の対象者は「1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある労働者」と述べましたが、そうした制度から少し例外的な対応として、日雇い労働者の雇用保険制度があります。
日雇い労働者が雇用保険に加入するためにはまず、ハローワークで「雇用保険日雇労働被保険者手帳」の交付を受ける必要があります。そして日雇いで働いた会社にこの手帳を提出し、会社に印紙を貼ってもらいます。その印紙が2ヵ月間で26枚以上貼られていれば、翌月において「その日の仕事をハローワークで探したが見つからなかった」といった場合に給付金を受けることが可能となります。
雇用保険の計算方法を紹介!雇用保険料率は事業の種類や年度によっても異なる
雇用保険の計算方法はシンプルなもので、
給与額(賞与額)×雇用保険料率
で計算すれば雇用保険料が算出できます。
雇用保険料率は事業の種類によって異なるだけでなく、年度による料率見直しが出ることもあります。
平成31年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の雇用保険料率は以下の通りとなっています。
*一般の事業:労働者負担 3/1,000 + 事業主負担 6/1,000 = 9/1,000
*農林水産・清酒製造の事業:労働者負担 4/1,000 + 事業主負担 7/1,000 = 11/1,000
*建設の事業:労働者負担 4/1,000 + 事業主負担 8/1,000 = 12/1,000
まとめ:労働者にとってメリットが大きい雇用保険
雇用保険は失業手当の部分ばかりが注目されがちですが、実際はその他にもさまざまな面で労働者の金銭的サポートをしてくれる内容も含まれており、労働者にとっては非常にメリットが大きい保険制度となっています。
「6ヵ月以上の雇用見込みが必要」などという条件があった時代に比べると、今では加入対象者もかなり拡大されていますので、今の正しい条件を知った上で、加入漏れのないよう心がけていきたいものです。
雇用保険は「失業した時に失業手当(失業給付金)をもらうために必要な保険」としてはよく知られてますが、その内容などについて詳しい内容を知っている人はそれほど多くありません。
ここで雇用保険の内容や対象、計算方法についての知識を得ておきましょう。
関連記事
資料請求や説明のご依頼は、
お電話またはフォームよりお気軽にご連絡ください。